平山晃生(てるお)監督


「雑居時代」全26話の監督別の本数は以下の通りです。

平山晃生、11本
千野皓司、9本
手銭弘喜、5本
小山幹夫、1本

千野皓司監督がメインと思われがちですが、本数で言えば平山監督の方が多いことになります。

平山監督は千野監督と共に雑居時代のメイン・ストーリーを撮られているわけですから、このドラマの全体のトーンに、平山監督の個性が反映されているのは当然でしょう。では、平山監督の個性とはどのようなものでしょうか?

「雑居時代」の中で心に残るシーンは?と聞かれたら、小生は躊躇なく、以下の4つのシーンを挙げますが、ご賛同される方も多いのではないでしょうか。

1.第9話「お母さん」、深まった秋、灯油ストーブの前での信さんと十一のやりとり
信 「十一くん、きみ、まさか」
十一 「ええ...」

2.第21話「夢見る乙女」、稲葉スタジオで中華まんじゅうを食べながらの夏代さんと十一のやりとり
十一 「きみもこのマンジュウのような中身の詰まった掘り出しものを見つけるんだな」
夏代 「いたら、教えて」 真剣な眼差し。

3.第22話「興奮しちゃった」、天重を食べながらの夏代さんと十一のやりとり。
十一 「あのー、先生の早とちりなんだよ。僕と君があのーお互いに...」
夏代 「え?やだわ、ほんと?!」と、裏声..

4.第22話、ラスト、岸記念体育会館前での夏代さんと十一のやりとり。
「潰れたら、あたしの目あげる」
......
「ねえ、また天丼食べに行きましょ」

これらは全て平山監督の回です。

これらの信さんと十一、夏代さんと十一の会話は、自然体の演技で、表情、言葉、間を丁寧に紡いで作っており、視聴者に気持ちの推移や、思いが自然に伝わってきて、全体として温かい印象が残ります。

小生は、この「自然」で「温かい」トーンが、平山監督の個性ではないかと思っています。

「雑居時代」のファンサイトに匿名で寄せられた平山監督に関するコメントを見つけましたので、ここに引用させていただきます。

(以下、引用)
こんにちわ、はじめてお邪魔します。皆さんがおっしゃっている「ハパと呼ばないで」「水もれ甲介」「気になる嫁さん」など等の石立作品の多くを監督したのが「平山晃生」氏で数年前に亡くなってしまいましたが、とても気さくな監督でした。私は表参道にある「シナリオセンター」という脚本を勉強する教室で偶然平山先生の指導を受けたのですが、昔から「パパと」「水もれ」などのファンでしたからとても驚いたものでした。後にあのドラマの温かさは平山監督のお人柄そのものだったと思います。


平山監督の経歴

氏の経歴に関してはあまり資料が残っていません。日本映画監督協会サイトの名簿でも、「平山晃生(てるお)」と名前が表示されるだけです。

インターネット上のコメントを拾っていくと、「恍惚の人」などで知られる、豊田四郎監督の門下生であったことがわかりました。

劇場用映画では唯一の監督作として、東京映画、1968年、コメディ「お熱い休暇」がありますが、これの評判は芳しくなかったようです。

その他、平山氏が関わった作品については、日本映画データベースから以下が見つかりました。

1957.06.05 ひかげの娘  東京映画  ... 助監督
1958.03.18 おトラさんのホームラン  東京映画  ... 監督助手
1959.05.19 男性飼育法  東京映画  ... 助監督
1959.09.20 暗夜行路  東京映画  ... 助監督
1960.08.28 〓東綺譚  東京映画  ... 助監督
1961.01.15 名もなく貧しく美しく  東京映画  ... 監督助手
1963.06.16 台所太平記  東京映画  ... 助監督
1963.10.12 新・夫婦善哉  東京映画  ... 助監督
1964.08.18 われ一粒の麦なれど  東京映画  ... 助監督
1965.07.25 四谷怪談  東京映画  ... 監督助手
1966.10.22 喜劇 仰げば尊し  東京映画  ... 監督助手
1967.01.14 喜劇 駅前満貫  東京映画  ... 監督助手

その後、早々にテレビに転向されたようですが、テレビドラマデータベースによると、

1968-1969、TBS、「仇討ち」、3、15、25話。
1969、    TBS、「S.Hは恋のイニシャル」
1970、    NET、「明日のしあわせ」
1971-1972、NTV、「気になる嫁さん」
1972-1973、NTV、「パパと呼ばないで」
1973-1974、NTV、「雑居時代」
1974-1975、NTV、「水もれ甲介」
1975、    NTV、「帽子いっぱいの涙」
1977-1978、NTV、「気まぐれ本格派」

やはり、メインは石立ドラマですね。

40年近く経った今でも名作と言われている「雑居時代」は、平山晃生監督抜きでは考えられませんが、その氏の情報が少ないのは、とても残念です。

コメント

  1. 「お熱い休暇」はフィルムセンターで見た記憶があります。スパイブームの頃の映画で、ボンドガールでもある松岡きっこさんが出演されてました。航空会社とタイアップしたようなタイのロケに、あの頃の懐かしさを感じました。国内のロケ地では代々木の第一体育館あたりが出てきたような記憶があり、平山監督はあの辺りがお好きだったんでしょうか。

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