「雑居時代」第22話、岸体育会館前シーンの妙

 雑居時代」第22話のラスト、岸体育会館前の交差点を背景とした、夏代さんと十一の会話は「雑居時代」全話の中でも、名場面中の名場面と評価する方は多いと思います。

夏代と十一の気持ちが通じ合っていく様を、大原さんと石立さんのアップで1カット、1カット視聴者に丁寧に伝えているのは見事です。

「ねえ、また天丼食べに行きましょ」と言った夏代さんの表情は最高と大原麗子さんのファン。「ああ」と返す十一の笑顔が最高と鉄ちゃんのファン。このシーンをどのように評価するかは視聴者の好みに拠りますが、このシーンが40年近く経っても、まだ観る者の心を打つのは、このシーンを組み立てた平山晃生監督の感性と技量に拠るものだと思います。

実は、このシーンの夏代さんと十一の会話はいわゆる「長回し」では無く、幾つものカットを後でつなぎ合わせて、一連のやりとりとして見えるように編集しています。

夏代さんが「ねえ、また天丼食べに行きましょ」と言ったのは、交差点付近(上の写真)ですが、十一が「ああ」と返したのは、この交差点を山手線沿いに50mほど南下した地点(下の写真)です。すなわち、それぞれ別に撮影して、あたかも一連の会話の如く後で編集したことになります。

これだけではなく、他のカットも同じ地点で同時に撮影したものでは無いことは、夏代さんと十一の背景から明らかです。

もちろん、このシーンの石立さんや大原さんの演技は、観る者の心に残るものであることは間違えありませんが、このシーンの真の立役者は、カット割を組み立てた平山晃生監督だと思いますが、如何でしょうか?

2011年12月25日撮影
2011年12月30日撮影

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