シンガーズ・スリー、伊集加代子さん、70年代の記憶

「雑居時代」、家族のやり取りや機微を描いた数々のシーンには心を打たれます。そして、それらのシーンに効果的に流される大野雄二氏のBGMには、いつも女声ヴォーカルグループ「シンガーズ・スリー」の甘く、柔らかく、透き通ったスキャット・コーラスがアレンジされ、シーンに華を添え、叙情性豊かなものにしています。

第1話、十一の少年時代の回想シーンでは、そのコーラスは十一の思い出を甘酸っぱく演出し、第25話、信さんが夏代さんに「家族同士なんだから」と励ますシーンでは、夏代さんの心情や家族の気持ちのつながりを表現するものであったりするわけです。いつの間にか「ラララララーラ、ラララララーラ」と心の中でつぶやき、ドラマのシーンに引き込まれている方も多いのではないでしょうか。

ところで、この「シンガーズ・スリー」、「気になる嫁さん」、「雑居時代」のオープニングやBGMに頻繁に登場する割には、何故か、クレジット・タイトルには名前が無いんですね。次作の「水もれ甲介」のクレジットで「シンガーズ・スリー」というグループが表示され、その存在を知った次第です。

「シンガーズ・スリー」は1967年に伊集加代(子)さん、尾形道子さん、団洋子さんによって結成されたコーラスグループ。いしだあゆみさん、南沙織さん、郷ひろみさんなど、数々の歌手のバックコーラスとして、レコーディングやステージに参加し70年代の歌謡曲を支えていたとのことです。ほとんどのクレジットに彼らの名前が登場しないのは、裏方に徹していたということでしょうか。

中でも、注目すべきは伊集加代子(いしゅう・かよこ)さん。彼女は「スキャットの女王」と言われた方で、これまで関わったテレビ番組やCMの楽曲は、少なくとも6000と言われています。

有名なところでは、「11PM」のオープニング曲、「シャバダバ、シャバダバ」や、ネスカフェ・ゴールドブレンドのCM、「ダバダー、バ、ダバダー、違いがわかる男のゴールドブレンド」と聞けば、頷く方も多いのではないでしょうか。

伊集加代子について調べれば、調べるほど、「あー、あれも」と、今更ながらに驚かされます。70年代にテレビから流れてくる音を思い起こすと、そこにはいつも、女声ヴォーカルのスキャット・コーラスが入っています。気が付くと、それらは「シンガーズ・スリー」であったり、ソロの伊集加代子さんであったりと、同じ人(たち)の歌声だったわけですね。

そのモダンで、甘く、柔らかく、そして、透き通ったスキャットは当時の数々のテレビ・シーンと結びつき、多くの方々の心に70年代の記憶として今でもしっかりと残っていると思います。


補足 伊集加代子さんの参加作品
ウィキペディア他、インターネットサイトから抜粋しました。出典の信頼性は確認できていません。
シンガーズ・スリー名義の活動も含みます。

TV番組
「11PM」のテーマ、「シャバダバシャバダバ」というスキャット。
「クイズタイムショック」テーマ。
ドラマ「時間ですよ」テーマ。
ドラマ「寺内貫太郎一家」テーマ。
「プレイガール」テーマ。
「気になる嫁さん」オープニング・テーマ、BGM。
「雑居時代」、BGM。
「水もれ甲介」オープニング・テーマ、BGM。

CMソング
ネスカフェ・ゴールドブレンド 「めざめ」、 「ダバダー、バ、ダバダー」というスキャット。
日立グループ 「日立の樹」、 コーラス参加。
日産自動車「世界の恋人」。

アニメソング
「アルプスの少女ハイジ」のテーマ「おしえて」。
「ルパン三世」シリーズ、第1期、BGM。第2期は「ルパン三世のテーマ」のオープニングの「Lupin the Third」のコーラス。

その他、参加作品は多数、多岐にわたり、クレジットなしも多いとのこと。

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