気になる嫁さん ロケ地の楽しみ(7)

ユニオン石立ドラマシリーズ全般に言えることですが、最初から綿密に全話のストーリーを組み上げているわけではなくて、松木ひろし氏と脚本家集団「葉村彰子」の複数のシナリオライター達が、即興でアイデア出しをして、ストーリーを作っている気がします。

第11話で純を死なせてしまい、第12話でストーリーとしては一応完結するわけですが、この最初の1クールの視聴率が好調だったようで、ドラマを継続するにあたり、次の1クールを埋めるための新たなストーリーが必要になったのでしょう。そこで元々脇だった小夜子に注目して、謎の屋台のラーメン屋・竹山、実は有名な報道カメラマン・谷川勉との恋愛話を急遽仕立てたというのが実の所だと思われます。

でも、即興にしろ何にしろ、面白い話を一気に仕上げてしまうとは、石立ドラマスタッフ達のパワーには並々ならぬものを感じますね。このあたりから脂が乗り初めて、次作の『パパと呼ばないで』や『雑居時代』へとつながって行くわけです。

第15話から小夜子と竹山の話が始まりますが、ドラマの展開としては、それまでは不機嫌なオールドミス(この言葉も死語ですかね)ぐらいでしか描かれていなかった小夜子という女性にまずスポットを当てています。

毎日の生活にフラストレーションを感じる小夜子。大学時代の仲間は有名なデザイナーになったり、結婚して平凡な奥さんになったりと、それぞれ自分の道を歩んでいることにあせりを感じ、めぐみに八つ当たりしてしまう。そんな小夜子がある日街で周りに目を向けると、女性がより活動的になっていることに気づく。
 
すれ違った女性のファッションに触発されて、小夜子が「私も、何かやらなくっちゃ」とつぶやいたのは、新宿駅の地下街。映像に「メトロ食堂街」の表示が写っていたので、容易にロケ地を見つけることができました。

小夜子の背後に「肉の万世」や「つな八」の看板が見えますが、これらの店は50年近く経った今でも、この食堂街に健在です。その他いくつかの老舗が昔からこの狭い空間に店を出しており、昭和レトロな雰囲気を醸し出しています。

それにしても、最近どこもかしこもLED照明にどんどん切り替わっていますので、明るいですね。昭和の蛍光灯とは隔世の感があります。



2019年9月8日、撮影。西新宿1丁目1−2 新宿地下鉄ビル メトロ食堂街。

めぐみを誘って、街に繰り出す小夜子。二人が歩いていたのは、おそらく地下鉄丸の内線の「メトロプロムナード」でしょう。この丸い柱や壁に見える大型ポスターから、間違いないと思われます。



2019年9月8日、撮影。丸の内線新宿駅、メトロプロムナード。

「メトロプロムナード」は地下鉄丸の内線、新宿駅と新宿三丁目駅を繋ぐ単なる連絡通路ですが、その長い距離の両側の壁に大型のポスターやディスプレーが展示され、巨大な広告スペースになっており、ちょっとした有名な場所となっています。ここも明るくなりましたね。

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