パパと呼ばないで ロケ地の楽しみ(4) 佃・月島・勝どき その4

下の写真は第8話から。幼稚園の学芸会でお遊戯「かもめ水兵さん」を千春たちと踊ることになった右京。振り付けを幼稚園の先生・大町宏子に特別に教えてもらった帰りのシーンです。千春と焼き芋を食べながら座っていたのは、隅田川べり、住吉水門の階段。

千春「パパ」
右京「うん、なんだ?」
千春「パパ、大町先生好き?」
右京「あー、好きだよ」
千春「大好き?」
一瞬、考える右京「うっ、うーん」
右京をじっと見つめる千春。
右京「ははっ、あのなーチー坊、何ていうかそのー、おばさんたちにおかず買って帰ろうか、なっ、すき焼きパーティーやろう、すき焼きパーティー、パーとな、ハハハハはー」

千春に心の中を見透かされたような質問をされ、ごまかした右京。頭の中には、千春の抵抗でユキと別れたことが浮かんだに違いありません。複雑な気持ちが見え隠れして面白いですね。秋の隅田川べり、ふたりの心情の機微が上手く描かれた印象に残るシーンです。
 
先日、撮った写真です。当時のコンクリートの階段は健在ですが、残念ながら、今は柵で囲われていて、階段には登れません。柵の隙間からカメラを突っ込んで、ズームアップして撮りました。黒と黄色の手すりはおそらく当時のものでしょう。

2018年5月4日、撮影。

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この隅田川べりの通りを少し、佃大橋よりに行ったところに、かつては隅田川を渡り反対岸の湊町へと運んでくれる「佃の渡し」の停泊所がありました。地元ではこの渡し船を「渡船(とせん)」、停泊所は「渡船場(とせんば)」と呼んでいました。1964年に佃大橋が開通して、廃止されるまでは、通勤、通学の足としても使われていました。

私も幼少期に、祖母や母親に連れられて、幾度となくこの渡船に乗ったことがあります。タグボートのようなもので、自転車も乗せることができました。隅田川を横切るだけですから、船が動き始めたと思ったら、すぐに湊町側へ着いてしまったのが記憶に残っています。

この渡船場があった隅田川べりの通り、何度かこのドラマ映像に登場します。下の写真は第17話から。千春が精太郎に「ずっと、オジちゃんのそばに居たいの」と言った、『パパと呼ばないで』全話を通じて最高のシーンの1つです。

千春を自転車の荷台に乗せて歩く精太郎
「ひとり乗りの観光バスでございます。右に見えますのが佃煮屋ちゃん、左に見えますのが...あっ、コンクリートの壁でございます(笑)」
突然、哀しそうな表情になる千春 「.....おじちゃん」
精太郎「 何だい、チー坊」
千春 「あたしたち、本当に引っ越さなくてもいいの?」
精太郎「うんっ?」
千春 「パパは絶対に引っ越さないって言うの。いくら園子おねーちゃんと喧嘩しても。あたし、ずっと、おじちゃんのそばに居たいの。おじちゃんと、おばちゃんと...園子おねーちゃんと、和子おねーちゃんと...昇おにーちゃんのそばに居たいの」
涙ぐむ精太郎「.....おじちゃんだって、絶対にチー坊に引っ越してもらっちゃ困るよ。いつまでも、おじちゃんちに居てもらわなくっちゃ。もし、どっかへ引っ越したりしたら、チー坊だけ自転車に乗っけて逃げてきちまうわー」
千春 「だめよー....パパもいっしょじゃなきゃ」
精太郎「うん?パパも?ああー、右京さんもいっしょだい」
千春 「わー、よかった。観光バス、発車オーライ!」
精太郎「はーい、発車オーライ」

隅田川べりのこの通り、佃煮「天安」や「田中屋」の古い木造の家屋が、なんとも言えない味のある雰囲気を出していて、このシーンにとてもマッチしていますね。何度観ても、思わず目頭が熱くなっていまいます。

同じく、先日撮った写真を掲載します。


2018年2月18日撮影。佃煮屋「天安」前。


2018年2月18日撮影。佃煮屋「天安」前、曲がり角。

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