雑居時代 ロケ地の楽しみ(11) 表参道附近

原宿駅前の歩道橋が撤去されたのは、今年、2014年の1月のことでした。老朽化により、地震で倒壊する恐れがあるのに加え、高齢者、身障者、乳母車には不便、そして何よりも景観を損ねていることが撤去に至った理由とのこと。

『雑居時代』第17話、カラコラム調査隊への誘いを受け、大喜びの十一と稲葉先生が歩いていたのは原宿駅近くの表参道(写真1)。彼らの背後に見えていたのが、まさにその歩道橋です。虫の知らせか、偶然か、昨年の暮れに撮影した写真がありましたので、並べてみました(写真2)。赤い消火栓や太いけやきの幹は同じ位置に健在です。消火栓は相変わらず、時代を超えて残る存在ですね。

写真1、『雑居時代』第17話より。

写真2、2013年12月29日、撮影。

ドラマでは十一と稲葉先生は表参道・北側の歩道を明治通り方面に歩いていましたが(写真3)、彼らの背後に見える向かって右側のビルが、「コープオリンピア」。1965年分譲のマンションで、「オリンピア」という名は、前年の東京オリンピックに因んだもの。今も健在で、古くても高額で売買されるマンション、いわゆる「ビンテージ・マンション」の代表格として知られています。

写真3、『雑居時代』第17話より。

写真4、2013年12月29日、撮影。

表参道をさらに明治通り方面に歩いていた十一達の背後に写っているのは、マンション「グリーン・ファンタジア」の1階壁面と柱(写真5)。「コープオリンピア」と同じく1965年に分譲され、今でも健在。これも「ビンテージ・マンション」の代表格。ネットで検索したら、賃料は36坪の部屋で、月63万円とのこと。

彼らの背後には、同マンション2階にあった美容室の看板が見えます(眞野優子美容室?)。今は同じ場所には別の美容室が入っています(写真6)。しかし、このマンションの大理石貼りの柱やグリーンの壁面タイルは今でも当時のままです。これを見つけたとき、思わず心の中で「残ってるんだ!」と叫び、少なからず感動しました。

写真5、『雑居時代』第17話より。

写真6、2013年12月29日、撮影。

この「グリーン・ファンタジア」の前に立ち止まっていた十一達にデコちゃんが「せんせー、ジャックさーん」と声をかけたのは、表参道・明治通り交差点(写真7)。

しかしヘンですね。手を振っているデコちゃんの背後左手に見えるのは、マンション「グリーン・ファンタジア」。すなわち、デコちゃんは、十一達が歩いていた同じ歩道に立って、反対側の歩道に向かって手を振っていたことになります。写真7で、手を振っているデコちゃんに向かって左のあたりに十一達は居たはず。十一達はいつの間にか、表参道の反対側の歩道にワープしてしまったわけです。「重箱」ネタ、1つ発見です。

「グリーン・ファンタジア」の1階には「こくぎん」の看板が見えます。その後、「こくぎん」は経営破綻し、「八千代銀行」に営業譲渡・清算されました。現在、同じ場所には「八千代銀行原宿支店」が入居しています(写真8)。その右側、何やら冴えない鉄骨の建物、同地には現在はファションビル「ラフォーレ原宿」が建っています。70年代あたりから、表参道はファッショナブルな通りというイメージがありましたが、こうして見てみると、まだまだ発展途上だったのがわかります。

写真7、『雑居時代』第17話より。

写真8、2013年12月29日、撮影。

第22話、夏代さんが音楽プロデューサー畠山と打ち合わせをしていたのは、原宿・竹下通りにある喫茶店「ノア」。今も同地に「NOA CAFE」という名称で健在。オーナー会社のホームページによると、「ノア」は1950年代に開店し、原宿で一番古いカフェとのこと。残念ながら、夏代さん達が打ち合わせをしていた地下店舗は、今は同オーナー会社によるプリクラ・ショップになっています。

写真9、『雑居時代』第22話より。

写真10、2014年1月18日、撮影。

原宿はいつの間にか、10代の若者と外国人の街になってしまいましたね。上の2つの写真を見ると、隔世の感を覚えます。時代の流れとともに客層は変われども、同地で営業を続けている「NOA CAFE」さんには、感謝です。

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