雑居時代 ロケ地の楽しみ(7) 渋谷、稲葉スタジオ
稲葉勇作フォートスタジオのロケ地となったのは、渋谷区神南1丁目の「三船ビル」。今や、雑居ファンの間では「聖地」と呼ばれています。
現在もこのビルには、音楽や映像の制作会社がテナントとして多数入居しており、不動産会社のホームページなどにも賃貸物件として掲載されています。1室、14坪で月額17万円ぐらいとのこと。
先日、その掲載内容を見ていて気づいたのですが、どの不動産会社もこのビルについては、「築年月、1975年1月」と記載しています。あれ? 雑居時代の第1話が初回放映されたのは1973年10月3日。稲葉スタジオのロケ地となったこのビルも第1話から登場します。どういう訳か時期が1年以上もズレていますね。
不動産物件の築年月や竣工というのは、登記時期を基準にしているそうですから、何らかの理由で、建築工事が終わっても登記が遅れたのかもしれませんね。その辺りの事情は不明ですが、確実に言えることは『雑居時代』の撮影時、「三船ビル」にはまだ誰も入居していなかったということ。そして、このもっともらしく見える稲葉スタジオ入口附近の光景は全て撮影用に演出されたものということです。
そういった目で、じっくりドラマ映像を観てみると...
第1話
第5話
2階・喫茶店の青い看板、一見もっともらしい感じですが、よく見ると店名は「OKA・NO・UE」、丘の上?人を喰ったようなネーミングですね。
右手の階段に飾られた花、第1話では赤色ですが第5話では黄色に変わっています。同じく、右手の階段には「準備中」という札がいつも掛かっています。この第1話も第5話も劇中では昼ごろなのに、この喫茶店はいつも「準備中」というのもヘンですよね。
最初、私は登記していないビルに喫茶店が開業できるのだろうか、と戸惑ったのですが、これらは全てリアルに見せる演出だとわかったとたん、佐谷晃能氏率いる美術スタッフの上手さに思わずニンマリしてしまいました。
その他、第1話の階段横に停められた自動車、ビル入り口正面の部屋にある看板、入り口右手の小窓に見えるカーテン。これらも、全てこのビルに入居者がいると思わせる演出だったということですね。このドラマを観ていて、実は稲葉スタジオのビルはまだ空っぽだったなんて気づいた人はいないのではないでしょうか。
40年後の風景です。2013年11月30日、撮影。
***
第10話の映像です。このビルの入り口に掛けられたパネルにはもっともらしい名前が並んでいますが、何と書かれているのでしょうか?
私が見たところでは、以下の通りです。
4F 東洋商事
3F 飯田法律事務所
2F 大村貿易事務所
シャープ商会
1F JNN服飾デザイン商会
フジヤマ観光
B1 稲葉勇作フォートスタジオ
この「フジヤマ観光」という会社名、コメディーっぽくていいですね。外国人相手の観光会社でしょうか?当時の日本のイメージと云えば、「フジヤマ」や「ゲイシャ」などが代表格だったことを思い出しました。
同じく、40年後です。2013年11月30日、撮影。
***
稲葉スタジオ近くのロケ地風景についても少し紹介します。
第8話、稲葉スタジオ(三船ビル)前。左手、奥に見えるのはNHK高層棟(本館)。フーコたちは、三船ビルに向かって走っている。
2013年11月30日、撮影。NHK本館は建物の影でよく見えなくなった。イチョウの木は同じ位置で立派に成長。
***
第10話、栗山邸にやってきたヤクザ風の男から逃れてきたマリー、夏代さんたちと出会う。場所は、ちょうど三船ビルの裏手、コロンバンビル横の通り。
それにしても、小学生のマリーが夜遅く、独りで成城から渋谷までやって来れたのは、不思議。
2013年11月30日、撮影。左手、赤い消火栓と右手、街路灯が当時のまま。この消火栓をよく見ると、1969年設置というラベルが貼ってあった。
***
第8話、オープニングシーン、代々木国立競技場前の道路。前方には渋谷区役所と当時の時計塔が見える。
2014年1月18日、撮影。渋谷区役所は変わらず。当時の時計塔は撤去され、現在は青い時計塔(地下駐車場排気塔)に。
***
さて、4回に渡り渋谷のロケ地散策にお付き合いいただき、ありがとうございました。今回で一旦、渋谷シリーズは終わりたいと思います。
渋谷を歩いていると、この40年間で街は大きく変わった印象を受けます。でも、こうして写真を並べてみると、当時と変わらない物もたくさんあることに気づきます。道路の形状、街路灯、イチョウ並木、消火栓、渋谷区庁舎、公会堂、NHK... そして、変わらない物の代表格といえば、何と云っても「三船ビル」でしょう。
渋谷区庁舎と公会堂は老朽化には逆らえず、最近、建て替えが決まったようですが、いつまでも、いつまでも、この「三船ビル」だけは残して欲しいですよね。
雑居時代ファン全員の願いです。
現在もこのビルには、音楽や映像の制作会社がテナントとして多数入居しており、不動産会社のホームページなどにも賃貸物件として掲載されています。1室、14坪で月額17万円ぐらいとのこと。
先日、その掲載内容を見ていて気づいたのですが、どの不動産会社もこのビルについては、「築年月、1975年1月」と記載しています。あれ? 雑居時代の第1話が初回放映されたのは1973年10月3日。稲葉スタジオのロケ地となったこのビルも第1話から登場します。どういう訳か時期が1年以上もズレていますね。
不動産物件の築年月や竣工というのは、登記時期を基準にしているそうですから、何らかの理由で、建築工事が終わっても登記が遅れたのかもしれませんね。その辺りの事情は不明ですが、確実に言えることは『雑居時代』の撮影時、「三船ビル」にはまだ誰も入居していなかったということ。そして、このもっともらしく見える稲葉スタジオ入口附近の光景は全て撮影用に演出されたものということです。
そういった目で、じっくりドラマ映像を観てみると...
第1話
第5話
2階・喫茶店の青い看板、一見もっともらしい感じですが、よく見ると店名は「OKA・NO・UE」、丘の上?人を喰ったようなネーミングですね。
右手の階段に飾られた花、第1話では赤色ですが第5話では黄色に変わっています。同じく、右手の階段には「準備中」という札がいつも掛かっています。この第1話も第5話も劇中では昼ごろなのに、この喫茶店はいつも「準備中」というのもヘンですよね。
最初、私は登記していないビルに喫茶店が開業できるのだろうか、と戸惑ったのですが、これらは全てリアルに見せる演出だとわかったとたん、佐谷晃能氏率いる美術スタッフの上手さに思わずニンマリしてしまいました。
その他、第1話の階段横に停められた自動車、ビル入り口正面の部屋にある看板、入り口右手の小窓に見えるカーテン。これらも、全てこのビルに入居者がいると思わせる演出だったということですね。このドラマを観ていて、実は稲葉スタジオのビルはまだ空っぽだったなんて気づいた人はいないのではないでしょうか。
40年後の風景です。2013年11月30日、撮影。
***
第10話の映像です。このビルの入り口に掛けられたパネルにはもっともらしい名前が並んでいますが、何と書かれているのでしょうか?
私が見たところでは、以下の通りです。
4F 東洋商事
3F 飯田法律事務所
2F 大村貿易事務所
シャープ商会
1F JNN服飾デザイン商会
フジヤマ観光
B1 稲葉勇作フォートスタジオ
この「フジヤマ観光」という会社名、コメディーっぽくていいですね。外国人相手の観光会社でしょうか?当時の日本のイメージと云えば、「フジヤマ」や「ゲイシャ」などが代表格だったことを思い出しました。
同じく、40年後です。2013年11月30日、撮影。
***
稲葉スタジオ近くのロケ地風景についても少し紹介します。
第8話、稲葉スタジオ(三船ビル)前。左手、奥に見えるのはNHK高層棟(本館)。フーコたちは、三船ビルに向かって走っている。
2013年11月30日、撮影。NHK本館は建物の影でよく見えなくなった。イチョウの木は同じ位置で立派に成長。
***
第10話、栗山邸にやってきたヤクザ風の男から逃れてきたマリー、夏代さんたちと出会う。場所は、ちょうど三船ビルの裏手、コロンバンビル横の通り。
それにしても、小学生のマリーが夜遅く、独りで成城から渋谷までやって来れたのは、不思議。
2013年11月30日、撮影。左手、赤い消火栓と右手、街路灯が当時のまま。この消火栓をよく見ると、1969年設置というラベルが貼ってあった。
***
第8話、オープニングシーン、代々木国立競技場前の道路。前方には渋谷区役所と当時の時計塔が見える。
2014年1月18日、撮影。渋谷区役所は変わらず。当時の時計塔は撤去され、現在は青い時計塔(地下駐車場排気塔)に。
1967年の『華やかな女豹』という映画(日活)を観ていたら、同じロケ地風景に出会った。ユニオン映画の制作スタッフは日活出身が多いので、何か関係があるのだろうか。
***
さて、4回に渡り渋谷のロケ地散策にお付き合いいただき、ありがとうございました。今回で一旦、渋谷シリーズは終わりたいと思います。
渋谷を歩いていると、この40年間で街は大きく変わった印象を受けます。でも、こうして写真を並べてみると、当時と変わらない物もたくさんあることに気づきます。道路の形状、街路灯、イチョウ並木、消火栓、渋谷区庁舎、公会堂、NHK... そして、変わらない物の代表格といえば、何と云っても「三船ビル」でしょう。
渋谷区庁舎と公会堂は老朽化には逆らえず、最近、建て替えが決まったようですが、いつまでも、いつまでも、この「三船ビル」だけは残して欲しいですよね。
雑居時代ファン全員の願いです。
コメント
コメントを投稿