パパと呼ばないで ロケ地の楽しみ(16) 狛江

「魚敏」のロケ地は佃・月島ではなく世田谷の経堂ですが、あたかも同じ佃・月島にあるかの如く演出していることに制作スタッフ達のこだわりを感じます。山の手・世田谷といえども、この近辺の小田急線駅前商店街の庶民的で雑多な雰囲気をうまく利用しているのはもちろんのこと、架空の「月島洋裁学院」なる看板を、画面の隅っこに入れ込んだりと、結構、細部にまで配慮している様子が伺えます。

ところで、既にご存知でしょうが、チー坊が通う幼稚園のロケ地も、佃・月島ではなく、小田急線喜多見駅近くの幼稚園です。魚敏の場合と同様、佃・月島地域で撮影に提供してもらえる幼稚園が見つからず、制作スタッフらは、土地勘があるこの辺りでロケハンしたのでしょう。


千春の幼稚園、第7話より。

おそらく、この幼稚園のロケ地を最初に探し当てのも「かぎぼり」さんという方で、20年ほど前にインターネットでこのロケ地の情報がファンの間で広まったようです。「魚敏」の場合と同様、苦労して調べられたのだろうと想像しています。 

一方、ツイッターのフォローワーの方が、私にとっては些か衝撃的なコメントをされていたのを思い出しました。

 「チー坊の幼稚園、どこかで見覚えがあると思ったら、うちの子が通っていた幼稚園でした」

何と、そんなこともあるのですね。50年も昔のドラマの録画を静止して、画面の隅々まで入念に調べて、わずかな手掛かりからロケ地を探す ― そんな地道な方法もあれば、ファンの間で情報交換すれば、一瞬にして解決してしまうこともある。SNSの力を思い知らされた瞬間でした。

さて、先日、現地で撮った同ポジションの写真です。奥に写っていた園舎は当時のものですが、門やフェンスは取り替えられていました。実は、この慶岸寺幼稚園、数年前に既に廃園になったとのこと。残念。


2021年5月16日、撮影。狛江市岩戸北4丁目15−8、慶岸寺幼稚園跡。

ところで、最初にこのロケ地を探し当てた方はどのように調べたのでしょうか。私も、いつもの如く、画面の隅々まであらためてチェックしてみました。

第2話、7話、8話、10話、背景に写っていたいくつかの店の名前でインターネット検索するも、手掛かり全く無し。しかし、第16話で下の映像を発見。


千春の本当の父親・橋本(松山英太郎)が、幼稚園の入口から千春の様子を伺っているシーンです。門の表札にわずかに「慶岸寺幼XX」という文字が見えます。「魚敏」の場合よりは容易にロケ地を特定することができました。20年前にスカパーでこのドラマを放映した際は、デジタル・リマスター版ではなく解像度はかなり低かったわけですが、よくぞ気が付かれました。マニアの方々の情熱にはいつもながら脱帽いたします。

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