パパと呼ばないで ロケ地の楽しみ(15) 経堂

このドラマに頻繁に登場する場所は、右京たちの下宿先である井上精米店と、近所の魚屋、魚敏。井上精米店のロケ地は佃三丁目で、既に、このブログでも何度か紹介しました。

では、魚敏のロケ地は一体どこでしょうか? このドラマのロケ地の情報はかなり昔から知られていますので、佃・月島ではなく、実は、小田急線経堂駅南口の「農大通り商店街」だと知っている方は多いでしょう。


第2話より。

ドラマの舞台となった佃・月島・勝どき地域からかなり離れた、山の手、世田谷の経堂とは意外です。ユニオン・石立ドラマの前作『気になる嫁さん』の舞台が小田急線の成城学園前ですから、この地域に詳しい制作スタッフの誰かが交渉したのだろうと想像しています。平山監督ご自身かもしれませんね。佃・月島・勝どき地域でも魚屋さんはたくさんあったはずですが、撮影に場所を貸してくれるところを探すのは難しかったのでしょう。

ところで、このロケ地を最初に探し当てた方は、どのように調べたのか興味深いところです。私が知る限り、「かぎぼり」さんという方が、20年ほど前にインターネットでこのドラマのロケ地などの詳細な情報を紹介しており、最初に魚敏のロケ地が経堂であると紹介したのはこの方だと思われます。当時はネットの情報も今ほど豊富ではないし、増してや、グーグル・ストリートビューもない時代。この方の苦労は大変なものであったと想像しています。

今更ですが、魚敏のロケ地が不明だと仮定し、私もあらためてそのロケ地探しにチャレンジしてみました。

魚敏は最初に第2話に登場しますが、周囲の風景は写っておらず、手掛かり無し。回を追って、手掛かりになりそうな看板や表示を探していくと...

第6話、「桜町不動産」「洋菓子のカモメ」 

第11話、「早川病院」

第14話、「カワセ美容室」

第16話、「中村良導絡研究所」「焼肉 冷麺 明月館」「月島洋裁学院」

これらのワードでネット検索するも、ロケ地を特定できるまでの情報は得られず。 

第30話、「経堂進学ゼミナール」「中華 増田」

第32話、「産婦人科 経堂駅前 早川病院」

ここで「経堂」「経堂駅」が登場。ロケ地は小田急線経堂駅前の商店街?

でも、北口の「すずらん通り」と南口の「農大通り」のどちらでしょうかね。

そこで、「経堂駅 桜町不動産」「経堂駅 洋菓子カモメ」という具合に、複数のワードでネット検索。すると、「経堂駅 明月館」というワードで、農大通りに同名の焼き肉屋さんを発見。よくぞ残っていてくれました。感謝。

早速、グーグル・ストリートビューで辺りを見てみると、ドラマ映像と似たような雰囲気。でも、かつて魚敏があったと思われる場所は別の店になっています。50年も前の魚屋さんは残っていないでしょうね、さすがに。こういう場合は現地に行ってみるに限ります。


第16話より。


2021年4月25日、撮影。経堂駅南口・農大通り。

「明月館」が左背後に見えます。「魚敏」があった場所は、この手前の左側。そちらに目を向けると...


2021年4月25日、撮影。経堂駅南口・農大通り。 経堂1丁目26−14。

この路地は第6話で登場しました。


背後に見えるグリーンのタイル貼りのマンションは現在も健在。このマンションは「経堂セントラルマンション」築・1969年とのこと。このマンションもよくぞ残っていてくれました!

インターネットで大概の情報が手に入る時代、ロケ地探索も格段に容易になりましたが、最初に手掛かりを掴むには、やはり録画を静止して、画面の隅っこを丹念に調べることに変わりはありません。また、そういう苦労があるので、50年も前のドラマのロケ地を見つけたときの喜びも大きいのでしょうね。

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第16話で登場した「月島洋裁学院」の看板は、この場所を月島地域に見せかけるため、撮影用に付けたものです。すっかり騙されました。


第16話より。


実は、この看板は前回、第15話で登場しています。

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第27話で、昇が千春の写真を撮っていたのも、魚敏のすぐ近くです。背後に「経堂大橋」という表示も写っています。



2021年4月25日、撮影。経堂1丁目26−3。水路は暗渠化されて、遊歩道になっていますが、道路の曲がり具合に当時の面影が残っています。

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