パパと呼ばないで ロケ地の楽しみ(11) 豊海町

先月から『パパと呼ばないで』がCSで再放送されています。その影響か、このブログで紹介しているロケ地情報へのアクセスが増えており、そこで、今回は『気になる嫁さん』はさておき、『パパと呼ばないで』のロケ地の話をしたいと思います。

勝どきから清澄通りを西に行った辺りの埋立地が豊海町です。佃、月島、勝どきの埋め立てが完了したのが明治時代。一方、この豊海は比較的新しく、昭和39年に埋め立てが完了しました。水産物の倉庫や荷積みの為の基地として開発されたようです。

昔は、大洋漁業などの魚介類倉庫が月島の隅田川沿いに建ち並び、その魚臭さが周囲に漂っていました。私の記憶にある月島の懐かしい匂いでもあります。豊海が開発されて、それらの倉庫が豊海の方へ集約されてからは、徐々に月島から生臭さが消えていきました。

今は、隅田川沿いのそれら魚介類倉庫跡地にはタワーマンションが建って、月島は生臭さとは無縁な世界になりました。このドラマをリアルで観ていた当時は、東京がどんなに変貌しようが、ここの木造の長屋や路地の風景はずっと残り続け、そして、その風景の中に、右京、千春、園子たちの人情噺が続いていくんだろうなー、なんて思ったものです。あの頃は、月島にタワーマンションが建ち並ぶ日が来るなんて、誰も想像できなかったわけです。

さて、その豊海町、西側の埠頭がこのドラマにたびたび登場します(第1、23、28、34話)。この埠頭は、隅田川、船、夕日、夜景といった絶好の撮影素材が得られるスポットで、最近はネットに写真をUPする人が多いようです。 

第1話。千春は行方不明の猫を探しに井上家を独りで飛び出してしまいます。下の写真は、追いかけた右京がようやく千春を発見したシーンから。

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背後、右手に見える塔は東京タワー。その右隣が世界貿易センタービルです。千野監督たちは、この画を撮りたかったので、わざわざ夕暮れ時に猫が行方不明になるエピソードを入れ、右京と千春を豊海まで行かせたのか、なんて想像できます。それにしても、佃から豊海はかなり離れていますが。

第28話。園子に見合いを勧めたそねに、「ばか、ばか、ばか、おばーちゃんのばかー!園子おねーちゃんをとらないで」と泣き叫ぶ千春。このドラマ全話を通して、私の好きなシーンのひとつです。杉田かおるちゃんの演技は涙を誘いましたね。

そして、第28話の最後を締めくくるのが、この埠頭でのシーン。右京との結婚、千春のママになることを決意した園子が、ふたりの元へ駆け寄ります。この第28話から最終話までは、右京、千春、園子が1つの家族になっていく話が中心です。隅田川と夕日を背にした3人のシルエットが印象的ですね。この3人のストーリーの新たな展開を予感させます。

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同ポジションの写真です。今では向こう岸の高層ビルで東京タワーは見えなくなりました。2019年4月22日、撮影。豊海水産埠頭、豊海町10−15辺り。

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この埠頭、実は『パパと呼ばないで』よりも前に『気になる嫁さん』に登場していました。下の写真は第6話から、小夜子と酒巻。

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皆様、来年こそは良い年でありますように。

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