気になる嫁さん ロケ地の楽しみ(16)

竹山が交通事故で亡くなったとの訃報、そして、お通夜、告別式。彼の死を受け入れられない小夜子は、心身共に疲れ果て寝込んでしまいました。しかしながら、しばらくすると突然起き出し、どこかに仕舞ってあったラーメンの屋台を引張り出してきます。下の写真はそのシーンから。竹山との思い出が詰まった屋台を夢中で引っ張る小夜子...というよりも、この背景のガスタンクは一体何!と思われた方も多いのではないでしょうか。

2020年1月13日、撮影。千歳台4丁目30−6辺り。

この巨大なガスタンク、世田谷区粕谷にある東京ガス世田谷整圧所です。実は日本で最初の球体ガスタンクとして昭和31年に設置されました。「日本で最初の」という理由からか、あるいは、世田谷の住宅地のど真ん中にあるガスタンクという、何とも言えないその印象的な風景からか、この界隈ではひとつの代表的な風景として認知されています。世田谷区民が選んだ「せたがや百景」にも選定されました。

このガスタンクの裏手が都立蘆花公園です。メタリックで幾何学的な球体タンクを背景に公園に咲く菜の花や桜を収める構図は、風景写真愛好家の間でも有名なようです。また、『ウルトラマン』や『仮面ライダー』のロケ地に使われており、その方面のマニアの方々のいわゆる「聖地」にもなっています。映画では、『早乙女家の娘たち』(1962年、東宝、久松静児監督)にも写っていました。

砧の清水家からはかなり離れており、何故この場所をロケ地に選んだのか今一つ不明です。思うに、東京映画出身の平山監督にとって、この辺りはホームグラウンドですから、「よし、あそこを画に入れよう」なんて言って、ロケに行ったのでしょうね、たぶん。

私事ですが、最近、蘆花公園の辺りまでジョギングすることを日課にしています。ほぼ毎日見ているこのガスタンクの風景、愛着が湧きます。

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