パパと呼ばないで ロケ地の楽しみ(1) 佃・月島・勝どき その1

ユニオン石立ドラマ・3作目を企画するにあたり、千野皓司監督らの制作スタッフは東京中を回ってロケ地の構想を練ったとのこと。以前、『雑居時代』のファンサイトに、千野監督の知り合いという方が投稿されていました。

1作目『おひかえあそばせ』は田園調布、2作目『気になる嫁さん』も砧・成城と東京の山の手。次作は、舞台をガラッと変えて下町では。昔ながらの下町情緒が残る場所をロケハンしてみようか。そして、苦労の末、見つけたのがこの佃・月島・勝どきエリアだったのかなー、なんて想像しています。

このエリアは幸いにして、第2次世界大戦の被害から免れ、戦前からの街並みをほぼ無傷で残すことができました。ドラマ映像に写っていたような木造の長屋や、その間の植木鉢が並べられた狭い路地は戦前からの貴重な遺産とも言えるものです。

実は、私の祖父母の家がまさしく、その戦前に建てられた長屋で、私自身も幼少期にそこに住んでいたこともあり、この地域は私にとっても故郷とも云える場所です。ここ近年は、タワーマンションや「もんじゃストリート」などで、昔の情緒は何処かに消えてしまいましたが、それでも一歩中へ入ると、その狭い路地に昔ながらの風景がまだちょっと残っていたりします。

月島出身の古老の話。「戦争中も、この路地で、みんなで遊んで、ケンカして、ラジオ体操をして、駄菓子屋のもんじゃを食べてね...何でもここに集まってやったんだよ」 久しぶりに月島を訪れた古老は路地に佇み、「この路地はこんなに狭かったんだね。昔はもっと広く感じたけどね....」と。

今やかつての生気を失って、タワーマンションの狭間にひっそりと残った路地。スマホ片手に「もんじゃストリート」を初めて訪れた人たちなんかにとって、古老や私の故郷は、薄汚い隙間にしか見えないかもしれませんね。

古老のノスタルジーにホロッとしてか、この辺りの風景も消える前に一度写真に収めなくては、などという想いに駆られ、早速、このドラマのロケ地巡りをすることにしました。

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第1話、右京と千春が、初めて井上精米店を訪れるシーンから(道路右手、バケツを持った時枝、左手、右京と千春)。ロケ地は佃3丁目8−11の辺り。当時のお米屋さんの土地は分割されて、今はそれそれアパートとマンションが建っています。向い、当時食料品店だった木造の建物は今でも健在。


2018年2月25日、撮影。

同じく第1話。右京がバイクに乗った園子とぶつかるシーン。カップルがこういったコミカルな出会いをするのは、松木脚本の定番中の定番。

『おひかえあそばせ』、飴をしゃぶりながら紙芝居を観る薫と、菊枝。
『気になる嫁さん』、ポテトチップスを食べる文彦と、めぐみ。
『雑居時代』、タバコの吸い殻を夏代のカバンに入れてしまった十一。

ロケ地は佃1丁目3−10辺り、佃大橋脇。ドラマ映像には、佃煮の「田中屋」看板が写っています。


同じシーン。バイクで走り去る園子。この俯瞰ショットは佃大橋へ登る階段から撮影したものでしょう。階段に登り、同じポジションから写真を撮りました。2018年2月25日撮影。

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