『雑居時代』の源流ここにあり(3)

今月から、CS「チャンネルNECO」で、1967年の石坂洋次郎ドラマ『ある日わたしは』(HDリマスター)が放映されています。何と、48年ぶりの放映で、少なからず注目を集めているようです。これも脚本は松木ひろし氏。『あいつと私』と、俳優も制作陣もほぼ同じで、このドラマにも『雑居時代』に繋がるものがあるのでは思い、毎週注目しています。早速、先日の第2話で下の写真のシーンに出会いました。

『ある日わたしは』第2話、信一とたか子喫茶店で会話。

石立ドラマファンなら、ピーンと来る情景ですね。このシーンのロケ地は渋谷区役所前にあったレストラン・喫茶店「Nakatani」。『パパと呼ばないで』、右京が橋本(千春の実父)と会い、『雑居時代』、家出した夏代さんが立ち寄った、あの喫茶店です。

『パパと呼ばないで』第16話より。

石立ドラマはこの喫茶店にずっとロケ協力をしてもらっていたようですが、その前身とも言うべき石坂洋次郎ドラマも、世話になっていたわけですね。
この喫茶店の話は、こちら)

窓を通して見える1967年の風景には、NHK高層棟も時計塔もまだありません。HDリマスターされたこのドラマのカラー映像を観ていると、当時にタイムトリップしたかのようで、結構ワクワクさせられます。各映画会社やTV局に眠っているこのようなドラマは、もっと放出して欲しいものですね。

さて、前回に続き『雑居時代』の源流を石坂洋次郎ドラマ『あいつと私』に探る話です。

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8.教会の結婚式

下の写真は『あいつと私』第7話、圭子の友人たちが大学の礼拝堂で結婚式を挙げたシーンです。厳かに愛を誓う教会の結婚式は観る者に感動を与えます。

このシーン、どこかで観たような...『雑居時代』、最終話ですね。

松木氏は教会の結婚式シーンをよく使います。例えば、『池中玄太80キロ』シリーズでは、都合5回も教会での結婚式が行われましたが、それぞれ、涙を誘うグッと来るシーンばかりでした松木氏のこの手法は、そのルーツを辿ると『あいつと私』に行き着くのかもしれませんね。

『池中玄太ビッグスペシャル』より


9.末っ子とのやりとり

『あいつと私』第10話、圭子たちに反抗した文子。三郎は文子にわざと圭子たちの悪口を言い、「そんなことないわ。皆、いい人たちよ」と逆に、文子に言わせました。同じようなやりとりが『雑居時代』でもありましたね。

『雑居時代』第4話。
十一 「そう、あんな欠陥姉さんたちを相手にしないことさ」
マリー 「あらー。みんないい人よ。あたしは好き!」

10.立てこもり事件

『あいつと私』第10話、末っ子の文子は、すねて押入れに立てこもってしまいます。『雑居時代』でも、同様なエピソードがありました。

『雑居時代』第13話、稲葉先生の「トイチは夏代おねーちゃんが好きなんだ」という言葉に激怒したマリーは部屋に立てこもってしまいしたね。

11.口の悪いヤツ

1) 『あいつと私』第2話、三郎「この家は女くさいなー」→『雑居時代』第1話、十一「この家も女臭くなったなー」

2) 『あいつと私』第3話、三郎「外見がキレイなのに限って、中がイカれてるのが多いんだ」→『雑居時代』第12話、十一「じゃー、中身が汚いっていうわけだ。外っ面がイイから」

女性に対する挑戦的な三郎のセリフは、石坂洋次郎の原作に松木ひろし氏が独自に脚色したものでしょう。こうした三郎のキャラクターは薫や十一にも受け継がれています。

12.山本紀彦氏

『雑居時代』池田玄也役、山本紀彦氏。石立鉄男さんの相方として、石立ドラマにはなくてはならない存在となりましたね。実は、山本氏は『あいつと私』にも出演しています。このドラマが山本氏のデビュー作ではないかと思います。学生運動のリーダーで、圭子の友人の女学生を強姦してしまう、ちょっと嫌な役柄でしたが、一生懸命さが伝わってくる芝居でした。


『あいつと私』第10話より。

(つづく)

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