『雑居時代』の源流ここにあり(2)

週刊現代、9月26日、10月3日合併号、TVドラマの女優たち「あの役」が最高なんです、と銘打った企画では、ドラマ通の方々への取材を基に、以下のようなランキングを付けています。

「TVドラマの名女優・名役柄ベスト50」
20位から

20位、北の国から95秘密(1995、フジ)、宮沢りえ=小沼シュウ 
19位、マンハッタンラブストーリー(2003、TBS)、小泉今日子=赤羽伸子 
18位、ケイゾク(1999、TBS)、中谷美紀=柴田純 
17位、踊る大捜査線(1997、フジ)、深津絵里=恩田すみれ 
16位、前略おふくろ様(1975、NTV)、坂口良子=渡辺かすみ 
15位、毎度おさわがせします(1985、TBS)、中山美穂=森のどか 
14位、水中花(1979、TBS)、松坂慶子=森下梨絵
13位、HERO(2001、フジ)、松たか子=雨宮舞子 
12位、愛していると言ってくれ(1995、TBS)、常盤貴子=水野紘子
11位、岸辺のアルバム(1977、TBS)、八千草薫=田島則子 
10位、やまとなでしこ(2000、フジ)、松嶋菜々子=神崎桜子
9位、JIN-仁-(2009、TBS)、綾瀬はるか=橘咲
8位、王様のレストラン(1995、フジ)、山口智子=磯野しずか
7位、夢千代日記(1981、NHK)、吉永小百合=夢千代
6位、東京ラブストーリー(1991、フジ)、鈴木保奈美=赤名リカ
5位、大河ドラマ篤姫(2008、NHK)、宮崎あおい=篤姫 
4位、西遊記(1978、NTV)、夏目雅子=三蔵法師
3位、おくさまは18歳(1970、TBS)、岡崎友紀=高木飛鳥
2位、男女七人夏物語(1986、TBS)、大竹しのぶ=神崎桃子
1位、雑居時代(1973、NTV)、大原麗子=栗山夏代

何と、数々の名ドラマを押しのけ、『雑居時代』大原麗子(夏代)さんが堂々の1位とは嬉しい限りです。この企画に参加したコラムニストの泉麻人さんのコメントも掲載されていました。どうやら、泉麻人さんも『雑居時代』・夏代さんにハマった、お一人のようです。もっとも、この企画、誰に取材したのか、どのような点数付をしたのか不明です。おそらく、編集者の独断と偏見に基づいたものでしょう。それはそれとして、泉麻人さんのように、『雑居時代』に影響を受けた人達が、今の映画・ドラマ界や著名人の中に、多く居られるのは間違いないところでしょう。

そんな栄えある『雑居時代』の源流は、1971年のドラマ『おひかえあそばせ』であり、さらに遡ると1967年のドラマ『あいつと私』に行き着きます。前回に続き、『雑居時代』のルーツを探ってみたいと思います。

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4.コミカルな出会いをするカップル

『雑居時代』で、十一が夏代さんと最初に出会ったのは、羽田空港。十一が投げ捨てたタバコの吸い殻が夏代さんのバッグに入ってしまい、ひと悶着ありました。後に栗山(大場)邸で出会ったふたりは、「あっ、あのときの...」と、再びいがみ合うのでした。

『おひかえあそばせ』でも同様な展開でした。薫がアメをしゃぶりながら紙芝居を観ているところを、菊枝が通りかかり、クスクスと笑い、薫と口論を始めましたね。後に、ふたりは池西家で再会し「あっ、あのときの...」となりました。

『あいつと私』では、どうだったでしょうか。圭子が友人と車を運転していると、黒田三郎と彼の友人が現れ、圭子たちを止めます。三郎たちは、これからフェンシングで「決闘」をするから、圭子たちに立ち会えと言うのでした。その後、圭子は三郎と大学の授業で再会し、同じく「あっ、あのときの...」という展開が続きます。

『気になる嫁さん』(第1話、松木ひろし脚本)で、文彦がめぐみと出会ったときも、地下鉄の駅でポテトチップをめぐみに手渡す、コミカルなやりとりがありましたね。『パパと呼ばないで』(第1話、松木ひろし脚本)、右京が園子のスクーターにぶつかってしまうのが、ふたりの出会いでした。カップルには、こういうコミカルな出会いをさせるのが、松木氏の定番といったところでしょう。

5.「あねご」

『雑居時代』、夏代さんのあだ名は「あねご」。これは、『おひかえあそばせ』、梅子のあだ名「キャップ」を受け継いだものでしょう。『あいつと私』では、圭子は妹達から「おねま」(おねーちゃまを短縮)と呼ばれていました。どれも妹達からリーダー格として慕われているからこそ、付けられたあだ名でしょう。

6.男同士

下の写真は、『あいつと私』、第3話、西田家を訪れた三郎が、圭子の父・金吾と酒を酌み交わすシーンです。娘ばかりを持つ父親が、娘婿・義理の息子になるかもしれない男と相対する様には、微笑ましさが感じられます。「君のような息子が欲しかった」とでも言いそうな表情です。でも、どこかで観たような...『雑居』ファンならピーンと来る、見覚えあるシーンですね。


『雑居時代』、第9話。

7.末娘のふたり

『あいつと私』、西田家・三女の妙子(小橋玲子さん)と、四女の文子(松井八知栄さん)のやりとりは、いつも軽いコメディーが基本です。この末娘ふたりのキャラクターは、『おひかえあそばせ』、あやめ(鳥居恵子さん)と、つぼみ(津山登志子さん)に受け継がれます。


そして、ご存知『雑居時代』では冬子(フーコ)と阿万里(マリー)ですね。

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