『雑居時代』の重箱の隅をつつく


『雑居時代』を繰り返し観ているうちに、「あれ、つじつまがあわないぞ」と、設定・撮影・編集上のミスに気づくことがあります。こうした「面白ネタ」の発見は、昔から、ファンサイト、2ch、YouTubeなどに、たびたび投稿され、ファンの間で熱い意見交換がされてきました。

『雑居時代』というドラマは、多くの根強いファンが、穴があくほど何回も、何回も繰り返し観ている為、こうした発見も多いのでしょう。裏を返せば、それほどまでに魅力的なドラマであることの証なんですね。

今までに、いろいろなサイトで紹介されたものや、自身がドラマを観ている最中に「あれ?」と感じたものなどを、以下にまとめてみました。

第1話
1.1 最終シーン、大家と喧嘩してアパートを出てきた十一が栗山邸の庭に張ったテントに「S大山岳部」と書いてあった。もう少し、もっともらしいネーミングはないものだろうか?あえて、コメディーっぽくしたとも思われる。ちなみに、Sは成城大学のS?

第2話
2.1 電車の音が効果音として入るようになる。栗山邸が小田急線・成城学園前駅の近くという設定のようだが、そのように実感できる映像は全話通じて1度も登場しない。実際のロケ地・邸宅の場所を知っているだけに、音だけの演出に少し違和感を覚えるようになった。『気になる嫁さん』の清水邸は、ロケ地も線路際であり、清水邸のすぐ近くに小田急線が走る映像がたびたび登場するのと、対比してしまう。

2.2 栗山邸の玄関ホール。スタジオのセットでは吹き抜け構造だが、ロケ地・邸宅を使用したシーンでは、玄関口の映像に一階の天井が写っており、実物は吹き抜け構造ではない。

2.3 夏代さん達が台所でステーキを焼くシーン。「おさんどん」で「お勝手を仕切っている」夏代さんだが、大原麗子さんが肉を焼く手つきは初心者の様相。新婚の大原さんは、この頃、浅丘ルリ子さんに料理の手ほどきを受けていたわけですが。

2.4 栗山邸にある家具やテレビは大場さんが置いていったという設定は理解できるが、台所にあるコップや、醤油差し、炊飯ジャーなどの調度品まで同じなのは、違和感あり。夏代さんは、それまで使っていた愛着がある物より、他人である大場さんの物を使うことに抵抗はないのだろうか?夏代さんは案外ドライで「あら、こっちの炊飯ジャーの方がいいわね」と、あっさり、今までの物は捨ててしまったのかもしれませんが。
2.5 夏代さん達は「つけまつげ」や化粧を落とさないまま寝る。肌に悪いですよ。
第3話
3.1 スタジオで、稲葉先生が「といち、金、ありがとう」と、つぶやくシーン。先生の背後の机の上、スクラップブックの間にドラマの台本が見えた。
3.2 スタジオには現像したフィルムが、いくつもぶら下がっているが、映画用フィルムと思われるものも混ざっていた。

第5話
5.1 この回から、栗山家・食卓シーンに「箸箱」が突如、登場するようになった。

第6話
6.1 この回から、サブタイトル画面左上の「雑居時代」のロゴが消える。

第7話
7.1 渋谷・神南1丁目でバスを降りてくる夏代さんを見かけた十一のカット。背景から判断すると、実際のロケ地点はバス停からかなり離れた場所で、かつ道路の反対側の歩道。

7.2 週刊ドリームの表紙のモデルになった夏代さんを春子や冬子が責めるシーン。夏代さんの座る位置が、カットによって微妙に違う。

第8話
8.1 小料理屋「赤とんぼ」の女将、「きよ」さんが、この回から登場せず。法事に行ったと「代理ママ」は言っていたが、詳細不明。

第9話
9.1 「お母さん」の仏壇を十一が拝むシーン。ロウソク、線香立て、遺影の位置がカットによって微妙に違う。

第10話
10.1 稲葉スタジオが入居しているビルの1Fのテナントの名は?
入口・柱のパネルでは、「JNN服飾デザイン商会」と「フジヤマ観光」。
でも、この第10話で1F入口正面ドアに掲げられた看板が読み取れた。
「株式会社 太平商事」。あれ?
第12話
12.1 新宿西口附近を言い合いしながら歩く十一と夏代さん。
十一 「やめよう、せっかくのデートだ」
夏代 「しかもこんなイカシタ女性とね」
十一 「君が?!よーし、すれ違う男がどれだけ振り返るか、試してみよう」
と夏代さんを歩かせる。ドラマのシーンは同じ地点で時間が推移している設定だが、カット毎にロケ地点が、あちらこちらに飛んでいるのが背景からわかる。

第13話
13.1 夏代さんは通信簿から、マリーの血液型がAB型であることを知り、親子関係に疑いを抱く。
夏代 「マリーは血液型、AB型?」
マリー 「AB型は天才か、キチガイが多いんだって。あたしはどっちかなアー、お姉ちゃんは、なあに?」
夏代 「あ、あたしはO型」
マリー 「やっぱり」
夏代 「やっぱりって?」
マリー 「お父さんと同じだもん」

血液型談義は、当時、小学生にまで浸透していたんだっけ?

13.2 マリーの出生の秘密はとても重い話だが、この回で十一と夏代さんが共通の秘密を持った後は、何もなかったようにドラマが進んでいくのは奇妙。十一も夏代さんも、あえてこの話題には触れないようにしているとも思えるが、後からドラマ全体を振り返ると、この話題だけ突飛な印象を受ける。

第15話
15.1 クレジット・タイトルによると、脚本は松木ひろし氏となっているが、間違いと思われる。十一と栗山家とのやりとりに違和感あり。14話と同じく、脚本は千野監督と葉村彰子と考えるのが自然。

第16話
16.1 第14、15話と同様、栗山家との距離感がそれまでと、少し違う。冒頭シーンでも、十一が居間で栗山家メンバー達に囲まれ、和やかにお茶漬けを食べている。回を追うごとに、十一は栗山家と親しくなってきたが、ちょっと、この回は親し過ぎる感じ。

16.2 栗山家に一泊した真弓さんが帰るシーン。玄関ホールのシーンでは、真弓さんはハイヒールを履いたが、後の坂道シーンでは、ブーツに変わっていた。

16.3 何故か、この回より栗山邸・居間の電話機が電電公社(現・NTT)の黒電話から、華やかなデザインの「パールフォン」(田村電機製作所製)に変わっていた。「何でも高くなったわねー」と物価高にため息をついている、しまり屋の夏代さんが買い換えたとも思えない。
第17話
17.1 カラコラム調査隊から稲葉先生と十一に参加の依頼の話があった直後、ふたりが喜びながら歩くシーン。十一のコートのポケットに台本らしきものが入ったまま。
17.2 今は一般的に「カラコルム」と表現されるが、1973年当時は「カラコラム」だったんだろうか?

第18話
18.1 十一と夏代が新宿・西口歩道橋附近を歩くシーン。ドラマのシーンは同じ地点で、時間が推移している設定だが、カット毎にロケ地点が、あちらこちらに飛んでいるのが背景から判る。

18.2 花園神社のシーン。神殿前の紅白の綱、新し過ぎる感あり。映像のどこかにさりげなく原色を入れる佐谷晃能氏の美術演出だと思われる。
18.3 「カラコラム調査隊」への参加からはずされた十一が帰宅したシーン。十一の部屋を取り合って、もめている、春子、秋枝、冬子。
冬子「ねえ、ジャックさん、デコ知ってるよねー」
十一「あー、知ってるよ」
十一は、それまでもデコちゃんとは、かなり懇意にしているが、何故、冬子からこんな台詞が出てくるのだろうか?

第19話
19.1 赤ちょうちんで田辺と飲んで帰ってきた十一が、秋枝達に田辺の病気の事を話すシーン。十一のコートのエリについた水のシミがカットによって有ったり無かったりする。
19.2 この回の脚本は松木ひろし氏ではなく、窪田篤人氏。そのせいか、名前の呼び方に若干の違和感あり。この回では、春子さんは秋ちゃんを「秋枝」と呼び、十一は春子を「春ちゃん」と呼ぶ。今まで、そんな呼び方していたっけ?

19.3 田辺さんのアパートが第13話、武田さんのアパートと同じなのは奇妙。

第22話
22.1 夏代さんが稲葉スタジオに現れ、十一をお昼に誘うシーン。十一と夏代さんの立ち位置が、カット毎に異なる。

22.2 ラスト、岸体育会館前の交差点を背景とした、夏代さんと十一のやりとり。『雑居時代』全話を通じ、最高のシーンの1つだが、実は、このシーンの夏代さんと十一のやりとりはリアルに行われているのではなく、幾つものカットを後でつなぎ合わせて一連のやりとりに見えるように編集している。「石立鉄男と大原麗子の呼吸がぴったりとあった演技だ!天国で結ばれてほしい!」とファンに熱く語らせる、平山晃生監督の勝ち。

第24話
24.1 デコちゃんは12話で自分は北海道出身と言っていたが、24話では彼女の実家は伊東の旅館という設定に変わっていた。

26話(最終話)
26.1 夏代さんはカーペットのバーゲンがあると言って、十一と買い物に出かけることを信さんに伝える。その後、十一と夏代さんは、地下鉄・千代田線、二重橋前駅附近、明治生命ビル前を歩くことになるが、このあたりは、有楽町、銀座から少し離れており、デパートなども無い。また、夏代さんが、渋谷の稲葉スタジオに寄って、十一を誘い、買い物に出かけたと思われるが、渋谷から銀座に行くのであれば、千代田線よりも、銀座線に乗るのが自然。どのような経緯で、二人が千代田線、二重橋前駅附近を歩くことになったのか謎。

26.2 有名な教会のシーン。夏代さんは十一の胸に花を挿し、十一はフィルムの切れ端を夏代さんの指にはめる。その後のシーンでも、夏代さんの指には、フィルムがはめられているが、十一の胸の花は無くなっている。十一は、「花なんか照れくせいや!」と花を捨ててしまったのだろうか?

26.3 「十年後」のシーン。十一の鼻の傷が十年後も治っていない。

26.4 第18話、1月ごろに稲葉先生は1年間という前提でカラコラムに旅立つが、この第26話で、突如、帰国。十一の部屋のストーブにまだ火が着いていることなどから季節は、ドラマの中でも3月ごろと思われる。1年の予定で旅立った「カラコラム調査隊」が、何故、2、3ヶ月で帰国することになったのか?

***

他にも、まだたくさんあるかもしれません。こういったミスやら矛盾点を見つけるたびに、『雑居時代』が増々好きになっていきます。
コメントいただければ、幸いです。

コメント

  1. こんにちは。
    いやあ、素晴らしいですね。
    大場十一さんらしい、一歩先行く突っ込んだ分析ですね。

    気になるセリフを一つ思い出しました。17話で十一と秀子が先生の事で、綿密な打合せまでするのに、次の18話での冬子と十一の会話、「ねえジャックさん、デコ知ってるよね?」「あー、知ってるよ」・・・この部分です。早口なのでさほど気にはならないのですが(笑)

    26話は、将来を語る二人の前方に、『明治生命』の文字が見事に収まってますよね。スポンサーへのオベンチャラなのか、スポンサーからの要望なのか、知りたいところです。

    スポンサーといえば、コカコーラも月桂冠も上記の明治生命も出ましたが、小林製薬と日本ハム関連は出なかったですよね。アンメルツあたりはいろいろと使えそうな場面があったとは思いますが^^

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    1. ZakkyoさんのYouTubeからの小ネタも、無断で拝借しております(笑)。そう言えば、16話から登場する「パールフォン」、やはり謎ですね。しまり屋の夏代さんが買い換えたとも思えない。あわせて、18話、フーコと十一の一瞬のやりとりも、追加させて頂きました。

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